録音に関する用語
音の大きさの単位
- dB (デシベル) — 相対的な音の大きさ
- 電話の発明者グラハムベルにちなんで付けられたベル
- 大小の差がとてもおおきい(ダイナミックレンジが広い) ので対数を使う
- dBは基準となる大きさとの比の対数を10倍(電圧)、20倍(音圧、電力)した値
- 音圧やレコーダのメータの表示では、-6dBは1/2。(20log102 = 6.02だから)
- マイクの許容音圧 — dB SPL (Sound Pressure Level)、絶対的な音の大きさ
- 空気の圧力 20マイクロPa を0dB(基準値) として、dB SPL = 20log10 実測値/基準値
- 近くでドラム音を収録するコンデンサマイクは、140db SPL 以上に耐えるものを選ぶこと
- 明記がないコンデンサマイクやレコーダーは大音量音楽の録音には向かない (特にドラムを近くで録音する場合)
- ダイナミックマイクにはSPL表示がなくても大音量に耐えるので問題ない
- ディジタル機器のレベルメーター表示はdB FS — 最大が0dB、FSはFull Scale
- 入力レベルが絶対に0dBを越えないように、-12dBあたりが平均で最大-6dB程度になるようにゲイン(感度)を設定する
- ほとんどの機器では0dBの少し下で赤表示になるので、赤表示が出ないところまでゲインを下げればよい。
- VUはアナログ機器時代のレベルメーター表示 (0VUを超えても歪まない。+3VUで振り切れるものが多い)
記録形式とファイル拡張子
- PCM (Pulse Code Modulation) — 基本となる圧縮なしの音声記録
- ビット数 — 波の高さの記録の精度を決める。16ビット(CD音楽)、録音するときは24ビット以上が望ましい。
- サンプリングレート(サンプリング周波数) — 44.1kHz (CD音楽)、48kHz (ビデオ)、96kHz(スタジオ録音)、記録できる周波数上限はサンプリング周波数の1/2。録音するときは48kHz以上が望ましいが、44.1kHzでもOK。
- チャネル数 — 2チャネル(ステレオ)、サラウンド(5.1, 7.1など)、多トラック (8, 16, 32, 48)など
- ファイル拡張子 — 主にwav (他にもある)
- 非可逆圧縮 — PCMデータを圧縮したもの
- 元には戻せない (lossy) ので、加工はPCMで済ませてから最後に圧縮する
- 拡張子 mp3 — 動画圧縮のMPEG 1 または 2の音声圧縮 (Layer 3)、音楽はビットレート128kbps以上
- 拡張子 m4a, aac, mp4 — MPEG 4の音声圧縮(AAC)形式、動画なしで音声だけのmp4ファイルもある
- 圧縮されたmp3ファイルをwavファイルに変換できるが、圧縮前の品質には戻せない
マイクの種類
- ダイナミックマイク
- 電磁石のコイル側の振動で電気を発生させる。価格は安め。
- 壊れにくく大音量に耐える (SPL表示なし)が、繊細な音、高域の収録には向かない
- ドラム録音用の定番は Shure SM57 (ボーカル用SM58と中身はほとんど同じ)
- ベースドラムには低域に強い専用マイクを使うとよい。
- コンデンサマイク
- スマートフォン内蔵マイク、レコーダーやビデオ内蔵マイクはこのタイプ
- 音楽用レコーダー以外の機器では、大きな音は歪んでしまうことが多い
- ドラムやライブ録音には最大SPLが140dB以上のものを選ぶ
- 電圧をかけた2枚の金属版の振動で発生する電気信号の変化で音を拾う。
- 電源と専用プリアンプ(内蔵または外付け) が必要。落としたりすると壊れやすい。
- やや高価だが、高域まですっきり録音できる。
- 電源は1.5V(内蔵電池)の場合と、ミキサーまたはレコーダーから供給する48vのファンタム電源の場合がある
- その他のマイク — 一般に高価、雑に扱うと壊れるものがあるので、初心者は手を出さないほうがよい。
音量調整、補助機能
24bit/48kHz(96kHz)でwavファイルに記録することをお薦めします。
- 自動ゲイン調整
- スピーチ(会議)モードは音楽には向かない。音楽用コンサートモード、ソロモードがあれば試すとよい。
- 手動ゲイン調整
- 前述のとおり、低めのほうが失敗がない
- 保険の意味でリミッターを設定してもよい
- 編集時に調整できるので、歪まないように録音することが大事
- コンプレッサー
- 大きい音を小さめにする機能で、自動ゲイン調整よりはマイルドな効果
- 編集時にかけられるので録音時にかける必要はない